応用統計学
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総合報告
MNARのもとでの統計解析の方法
土居 正明大江 基貴高橋 文博藤原 正和
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 46 巻 2 号 p. 107-131

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抄録

欠測メカニズムとしてMissing Not At Random(MNAR)を仮定した統計モデルおよび解析手法のうち,医薬品開発で注目されているものの概説を行う.欠測メカニズムは一般に,観測データから確認できないため,主要な解析にMissing At Random(MAR)を仮定する場合にも,真の欠測メカニズムがMNARである可能性は否定できない.また,MNARを仮定した解析はMARを仮定した解析と比較してモデルの誤特定の影響が大きい可能性がある,という指摘もあるため,MNARのもとでの解析を主要な解析とする場合には十分な検討が必要である.本稿では主要な解析に用いられる場合と感度分析として用いられる場合の両方を視野に入れ,Selection Model(SM),Shared Parameter Model(SPM),Pattern Mixture Model(PMM)の各モデルと,パラメータ推定のための方法として,観測データの尤度を用いる方法とMultiple Imputation(MI)により補完する方法について述べる.また,理論の解説のみならず,統計ソフトSASのプロシジャや公開されているマクロプログラムに対する参考文献についても触れる.

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© 2017 応用統計学会
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