応用統計学
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研究論文
東京都公示地価の普遍型クリギングにおける空間バリオグラムの経年変化について
菅野 雄太塩濱 敬之
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2020 年 49 巻 2 号 p. 47-69

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抄録

本研究では,1997年から2018年における22年間の東京都公示地価のクロスセクションデータを用いて,非空間モデル,空間過程モデルの推定と,空間過程モデル回帰残差に対して普遍型クリギングを行った.時点間には独立性を仮定して,各年において独立に空間過程モデルのパラメータと回帰残差の共分散構造を示す空間バリオグラムに着目し,その経年変化について分析を行った.その結果,分析期間を通して,利便性を表す指標が,分析対象地域間の公示地価の価格差が広がるように推移していることがわかった.また,分析対象地域によって,用途地域に志向があること,都心部以外の地域では,局所的な日当たりやハザードマップの該当地域等といった地価モデルでは説明しきれない土地のもつ個別性が地価に与える影響が強まること,地価に影響を与える共変量の影響を取り除いた残差の空間相関が強まる地域・時期があることがわかった.その結果,東京都内においても,地域により地価の二極化が進行していることが分かり,その影響は強くなっている.そこで,わが国の過去の土地政策との関連から今後の政策の方向性について検討した.

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