2020 年 49 巻 2 号 p. 71-84
本稿では,位置情報を持つ個体において経時測定データが観測されている場合に,時間と空間の交互作用項を持つ成長曲線モデルを適用することを試みる.位置や時間の基底について考え,それぞれを固定した場合の時間軸上の予測曲線あるいは空間上の予測曲面に関する同時信頼区間を与える.また,交互作用項,特に空間に関する基底数を減らすための工夫として局所的な成長曲線モデルの適用も考える.そして,それらの提案手法をカナダの35観測地点における3月から8月までの6時点で観測されている気温データに適用し,当てはまりなどを検証した.経時的に観測された気温データは観測地点が異なると高低差や傾きなど様々な経時変化を示したが,提案するモデルの適合は重相関係数の意味でとても良かった.