2021 年 50 巻 1 号 p. 1-20
本論文では,複数の説明変数と複数の目的変数がいくつかの母集団から観測される状況を考える.母集団の数に関する情報が得られていないとき,説明力の高い多変量回帰モデルを得る多変量解析法として,クラスタワイズ回帰分析法が提案されている.クラスタワイズ回帰分析法では,目的変数に対する説明力が向上するようにデータをk個の群(クラスタ)に分類(クラスタリング)しながら,同時にクラスタごとに回帰モデルが構築される.これに対して,本論文では,複数の目的変数を解析対象とした多変量非線形データを解析するために,クラスタワイズ多変量カーネルリッジ回帰分析法を提案する.また,数値実験と適用事例をとおして,提案方法の有用性を検討する.