阿部勝征は,津波を起こした地震の規模を表すために潮位に基づく津波マグニチュードMt を考案し,日本近海で発生した津波のMt のデータセットを作成した (2006).これには,最初の定義を拡張し,古文書・遺跡を用いて計算した歴史的データも含まれている.本論文では,極値理論に従って一般パレート分布を当てはめ,Mt データの特性を調べた.方法の要点は,観測値に欠測があることを考慮したモデルを構築したことである.解析により2011 年東北地方太平洋沖地震による津波が,統計学的にどれほど稀な事象であったかを議論する.