2022 年 51 巻 3 号 p. 109-123
二項母集団の母比率の区間推定は古典的な問題であり,様々な信頼区間が知られている.ベイズ法を用いた信頼区間には,Jeffreysによる信頼区間があるが,実際の被覆確率が公称値を大きく下回ることがあると指摘されている.本論文では,階層ベイズモデルによる信頼区間の構成方法を考える.本論文では,母比率の事前分布のベータ分布の母数について,その超事前分布を適切に定める階層ベイズモデルを考えることにより,二項母集団の母比率の信頼区間を構成する方法を提案する.マルコフ連鎖モンテカルロ法による数値計算により,実際の被覆確率と区間幅を比較したところ,いくつかの設定において,提案法はJeffreysの信頼区間よりも良い性質をもつことが確認された.