2024 年 53 巻 2 号 p. 77-92
本研究で扱う顧客購買行動は実務家と研究者の双方にとって関心の高い事象であるが,それを構成する主要な 2要素である購買間隔と購買金額はこれまで別個に取り扱われてきた経緯が存在する.一方,実際の購買行動の傾向を考慮すると,本来それらは同時にモデリングされるのが望ましい.従って本研究では,確率過程の一種であるマーク付き Hawkes過程をスーパーマーケットにおける顧客購買行動の文脈に適用することで,過去の全ての購買行動を加味しつつ,購買時刻と購買金額に関する同時メカニズムを確率的に推定する手法を提案する.顧客ごとの異質性や性年代等の共変量をモデルに組み込んだ上で,EMアルゴリズムを用いて推定を行った結果,いくつかの実務的に重要な示唆を得ることができた.また,シミュレーションの結果,従来的なモデルに比べて本稿で提案したマーク付き Hawkes過程が極めて高い予測力を有することが明らかになった.