抄録
東日本大震災以降,高層・超高層免震建築物の計画棟数が増えている。しかし,上部構造の高層化に伴い,免震建築に対する風の影響が増大し,免震ダンパーが塑性化する可能性がある。現行の耐風設計では,一般的に用いられている風速・風向を固定した10分間風力では,免震層の残留変形を評価するには不十分である。ただし,実際の状況は,台風の風速・風向が常に変化している。風速・風向の変化を考慮した風力に比べ,10分間風力では免震層の変形と逆向きの風力の発生を考慮できないため,免震層の残留変形に対する評価が大きくなる可能性があると考えられる。そこで,台風シミュレーションを基に,多自由度モデルの免震層の残留変形を解析し,より実際に近い設計情報を考察する。