抄録
ゼロもしくは連続な正実数値を取る1変量確率分布の生成には,2通りの方法がある.1つは原点での離散確率と連続分布との混合によるもので,連続分布としては対数正規分布やガンマ分布が用いられる.もう1つは原点で確率をもつ確率分布族によるもので,たとえば自由度0の非心χ2分布がそうである.本報告では,ゼロを含む2変量データとして気象庁地域気象観測(アメダス)データから得られる2地点で同時に観測される日降水量標本を取り,それらの対数正規分布を基礎にしたモデル化を扱う.モデルのもとでの母数の最尤推定では,最尤推定方程式を直接に書き下して推定値を求める方法を与える.