応用統計学
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多重比較法における不等分散の影響評価
阿部 研自岩崎 学
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1999 年 28 巻 2 号 p. 55-78

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抄録
新薬開発の毒性試験等では,標準的なデータ解析手法として,群間比較あるいは用量反応性検出のための各種多重比較法が用いられている.これらの手法の多くは各処置群での分散の均一性を前提としているが,特に毒性試験データでは,各群の分散が不均一であることが多い.その際に,等分散性を仮定した多重比較法の使用は不合理であるが,どのような不合理性が生ずるのかは必ずしもよく認識されているとは言い難い.
本論では,はじめに,処置群ごとの不等分散性がこれまでの標準的な多重比較法の有意水準および検出力に及ぼす影響の評価を行なう.次に,近年注目を集めているコンピュータを用いたresampling法による多重性調整アルゴリズムを不等分散の場合に拡張する.そして,ここで提案した手法がどの種の多重比較に有効であるかを数値例によって示す.
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