応用統計学
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28 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 阿部 研自, 岩崎 学
    1999 年 28 巻 2 号 p. 55-78
    発行日: 1999/11/11
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    新薬開発の毒性試験等では,標準的なデータ解析手法として,群間比較あるいは用量反応性検出のための各種多重比較法が用いられている.これらの手法の多くは各処置群での分散の均一性を前提としているが,特に毒性試験データでは,各群の分散が不均一であることが多い.その際に,等分散性を仮定した多重比較法の使用は不合理であるが,どのような不合理性が生ずるのかは必ずしもよく認識されているとは言い難い.
    本論では,はじめに,処置群ごとの不等分散性がこれまでの標準的な多重比較法の有意水準および検出力に及ぼす影響の評価を行なう.次に,近年注目を集めているコンピュータを用いたresampling法による多重性調整アルゴリズムを不等分散の場合に拡張する.そして,ここで提案した手法がどの種の多重比較に有効であるかを数値例によって示す.
  • 中西 寛子
    1999 年 28 巻 2 号 p. 79-89
    発行日: 1999/11/11
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    近年,離散変量と連続変量が混在している場合の距離について提案がなされた(たとえば,Nakanishi(1996)参照).これらの距離を用いてある判別法が導かれる.この判別法は母数が既知であり,かつ,条件付き確率分布が多変量正規分布であるという仮定のもとで,各母集団に対する誤判別率の合計を最小にする.
    本論文では,まず,提案された距離とこの判別法における誤判別率との関係を数値例により考察する.次に,誤判別率の近似を本距離を用いて行うことを考え,数値例と実際のデータからその有効性を探る.最後に,推定すべき母数の数が非常に多くなるという本判別法の欠点を補うため,本距離を用いた離散変量の変量選択法について述べる.
  • 小林 康幸, 安部 利美, 安達 一成
    1999 年 28 巻 2 号 p. 91-106
    発行日: 1999/11/11
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    計算機による統計解析のためのソフトウェアの発展に伴って,計算機に関する知識をあまり持たない利用者が,容易に統計解析を行なえるようになった.
    しかし,一方では利用者側が統計の知識を持たずに安易に統計ソフトウェアを利用するため,統計解析手法の誤った利用,統計解析結果の誤った解釈といった問題も出てきている.
    この問題を解決するために,人工知能の一分野であるエキスパートシステムの成果を統計ソフトウェアの分野において適用した,いくつかの統計エキスパートシステムの試作品が開発されたが,まだ実用段階には至っていない.
    試作品の中には,特定の統計解析手法に焦点を当てて開発されたものもある.従来の統計解析プログラムのような,利用者が望むであろう全ての統計量の値を計算して一度に出力するのではなく,統計計算の途中で利用者とシステムがやりとりをする方法を実現している.
    またこれらと異なる試作品として,統計解析者の目的に応じて適切な統計解析手法をアドバイスするシステムも開発されている.
    しかし,多くの統計解析手法を実行できる総合的な統計エキスパートシステムはまだ実現していない.
    ここでは,統計エキスパートシステムとはどのようなものか,またその中でどのような部分が実現可能か,さらに今後どのような問題があるかを分析する.
    また,現在我々が開発している統計エキスパートシステムがどの程度実現しているのか,今後どのような計画を持っているのかにっいても述べる.
  • 石岡 恒憲, 亀田 雅之
    1999 年 28 巻 2 号 p. 107-121
    発行日: 1999/11/11
    公開日: 2009/06/12
    ジャーナル フリー
    異なった文書に同時に現われる単語に着目することにより,潜在的な意味的検索をおこなうDeerwester(1990)のLatent Semantic Analysisを日本語の比較的大規模な文書集合に対して適用した.その中で,大型疎行列における特異値分解アルゴリズムの比較検討を行ない,日本語文書検索に適した方法を見つけた.これを実際の新聞記事で試し,文書検索,および関連語表示において有効であることの見通しを得た.また実装する上での工夫として,関連文書検索においては,文書の大きさによる基準化が必要なことがわかった.さらに,重複を許す単語のクラスタリングを試みた.
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