2重に分類された計数データに関する検定問題で,行,列またはその両方に順序がある場合を考える.二つの多項分布の比較,いくつかの2項分布の比較,いくつかの多項分布の比較,分割表における独立性の検定,等で傾向のある対立仮説を想定する場合がこれに含まれる.本論文ではこれらの問題に適用できる累積カイ2乗法を提案し,その漸近的な検出力が点数法あるいはタイのある場合のWilcoxonの条件付検定法よりも秀れていることを示す.ここでの累積カイ2乗法は,田口の累積法を修正したもので,Wilcoxon統計量と同じ次元を持っている.