応用統計学
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2種類の治療法の優劣を判定するための逐次実験法について
伏見 正則
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1980 年 9 巻 1 号 p. 35-41

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抄録

臨床実験においては,患者は逐次に実験に参加するのが普通であるから,可能ならば逐次実験法を用いるのが適当であろう.2種類の治療法の優劣を比較する場合,結論を下すまでに実験に参加してもらう患者の総数の期待値が少ないことが望ましいのはもちろんであるが,倫理的な観点からみれば,劣っている方の治療法を施される患者の数の期待値をできるだけ少なくすることは,さらに重要であるといえよう.
このような要請にこたえるために,種々の逐次実験法が提案されてきた.なかでも,いわゆるplay-the-winnerサンプリング・ルールを用いる方式がよく研究されている.本論文では,このサンプリング・ルールに対して新しいストッピング・ルールを組み合わせて使う方式を提案し,既存の方式と比較する.その結果,本方式は既存のほぼ最良の方式と比べ遜色のないものであり,いずれの方式を採用するかは,治療法の平均的な有効度に応じて決めるのがよいことが示される.

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