石油技術協会誌
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“シェルスタイル” HSEマネージメントシステムの実行
トレジャー M.
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1999 年 64 巻 5 号 p. 416-424

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抄録

近年の石油開発におけるセーフティーレベルの改善は, 効果的な Health, Safety and Environment management system (以下HSE-MS) の実行の結果に負うところが大きい。マネージメントシステムとは定められた目的に関して組織がどのように管理されるかを明記したものであり, 一貫した手法で組織を管理する方法を提供すると同時に, またそのような管理方法が適切であることを証明するために使うことができるものである。現在, 地域によっては, こうしたマネージメントシステムの提出を法律的に義務づけられているところもある。
効果的なHSE-MSの開発には, E & Pフォーラム(Exploration & Production Forum) の策定したガイドラインを基に業界のスタンダードなどを反映して, 発展的な方法ができ上がっている。多くの石油開発会社は, それぞれの会社の要求や作業に応じたHSE-MSを開発するためにそのガイドラインを採用している。
Royal-Dutch Shell グループはそうしたガイドラインの開発やそれを使ったHSE-MSの開発にリーダーシップ的役割を果たしている。JDCは1997年からの Shell 社との作業を通して“Shell-style”のHSE-MSを開発し, 実行した経験を有している。
Shell-style HSE-MSの基本的要素は Leadership and commitment/Policy and strategic objectives/Organization, responsibilities, resources, standards and documents/Hazards and effects management/Planning and procedures/Implementation and monitoring /Audit/Management review の8項目であり, 本報告ではそれらの概略と同時に, それらがいかにJDCの作業の中で実行されたかをも示してある。
なお, Shell-style のマネージメントシステムをJDCに導入するに当たって顕著に現れた障害は,「言葉の問題」と「変革に対する反抗」とであった。前者については重要文書の日本語化など, 後者についてはシステム導入に伴う利益を強調することなどによって, 十分とはいえないまでもこれらを克服しようとしている。
効果的なHSE-MSを実行することによって得られる効果としては, 第一に事故率の確実な低下が挙げられる。さらにモラルの向上, および弊社のような掘削コントラクターにとっては, 多くの石油開発会社と掘削契約を得るための競争力が強化されることであろう。

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