教授学習心理学研究
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理科授業の議論過程におけるトランザクティブディスカッションの生成を促す教師の介入方略
高垣 マユミ田爪 宏二清水 誠
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2006 年 2 巻 1 号 p. 23-33

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抄録
本研究は,小学校5年生理科「もののとけ方」の観察・実験を通した協同学習の話し合い場面を通して,溶解時の質量保存に関して子どもたちが保持する素朴な理論を,科学的な理論へと促進する教師の介入方略を考案し,その効果を実証的に検証することを目的とした。事前・事後テストの記述分析及び発話事例の解釈的分析を用いて教授効果を検討した結果,以下の点が明らかにされた。1)子どもの生成する予測,観察・実験から得られるデータ,データから導かれる理論とを結びつける教師のリヴォイシングは,自己を変化させる方向性のトランザクティブディスカッションを生成させる。2)子どもどうしで主張する理論間のズレや矛盾点を明確化した上で,より精緻化された理論に再公式化する教師のリヴォイシングは,他者を変化させる方向性のトランザクティブディスカッションを生成させる。1)2)のトランザクティブディスカッションの生成は,理論の協同構築を促進させる可能性が示唆された。
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© 2006 日本教授学習心理学会
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