教授学習心理学研究
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朝の会におけるグラウンド・ルールの共有を図る教師の働きかけ
-教室の談話のカテゴリー分析及び解釈的分析を通して-
高垣 マユミ松尾 剛丸野 俊一
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2013 年 9 巻 1 号 p. 29-36

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抄録
本研究は,話し合いの基盤となるGR(グラウンド・ルール)の共有過程における教師の働きかけの特徴を,授業外の文脈である「朝の会」という視点から検討した。小学校1年生を初めて担任する教師の1学級を対象に,入学導入時期の朝の会の場面を,4月から7月の1学期間に渡って参与観察した。談話過程のカテゴリー分析及び解釈的分析の結果,教師は児童に対して,朝の会で話題とした考え方や態度を通して,自らの会話や行為を振り返る枠組みとして,「自分の行為の制御」,「他者との積極的な関わり」,「他者とのかかわりを通じた自他理解」の3つのGRを生成し,運用していることが明らかにされた。その時,教師は児童の状況や反応に応じて柔軟かつ即時的に話題を転換しつつ,児童との互恵的な関係性において,3つのGRを学ぶ機会を作り出していた。その過程における教師の働きかけとして,学校生活全般にわたる児童の過去と現在の行動様式を比較したり,ラベル化したりしていた。これらの教師の働きかけは,「日常生活との関連づけ」,「話題の流動化」,「過去の記述」,「変容の感覚(正・負)の可視化」,「自己開示・感情の表出」,「行動様式のラベル化」,「思考の促し」の7つのカテゴリーに分類され,話し合いの経験が十分ではない1年生の児童に対して,共有可能な経験知としてGRを学ばせていることが示唆された。
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© 2013 日本教授学習心理学会
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