質的心理学研究
Online ISSN : 2435-7065
通学型の通信制高校において教員は生徒指導をどのように成り立たせているのか
重要な場としての職員室に着目して
神崎 真実サトウ タツヤ
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2015 年 14 巻 1 号 p. 19-37

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抄録
本研究では,通学型の通信制高校(A高校)において教員がどのように生徒指導を成立させるのか,その具体的な方法を記述することを目的とした。約1年間の観察を経て,A高校では生徒指導の場として職員室が活用されていることを見出した。まず,生徒指導の内容を明らかにするために,職員室での交流場面をKJ法に準じて分析した。その結果,7つの生徒指導カテゴリが生成され,これらは定時制や全日制であれば学級単位で行われる指導であることが確認された。次に,なぜ職員室で生徒指導を行うのかを検討するため,生徒と教員が職員室で交流するメリットと背景を示すデータを整理し,A高校における職員室の機能について分析した。その結果,A高校では制度的特色(通信制)と組織的特色(通学型)が重なって教員と生徒の双方に困難が生じる場合があり,その時に教員全体で生徒を支えることで,この困難が解決されることが分かった。具体的には,事務手続きを職員室で一括して全ての生徒が職員室を通るようにし,教員全体で生徒のニーズや状況を把握することで,生徒との交流や生徒同士の輪に入るよう促す関わり(包括的な生徒指導)を可能にしていた。最後に,A高校における生徒指導の知見をもとに,単位制高校や総合学科などの新しいタイプの高校における生徒指導のあり方について考察した。
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© 2015 日本質的心理学会
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