第四紀研究
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原著論文
木曽川デルタにおける沖積最上部層の累重様式と微地形形成過程
山口 正秋須貝 俊彦藤原 治大上 隆史大森 博雄
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2006 年 45 巻 6 号 p. 451-462

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抄録

典型的な三角州平野である濃尾平野の三角州帯から自然堤防帯に至る平野微地形の形成過程を, 24本の群列浅層ボーリングに基づいて考察した. ボーリングでは層相および粒度組成のサクセッションから, デルタ堆積物とそれを覆う河川堆積物からなる9つの堆積ユニットが識別された. 現在の平野微地形と表層堆積物とは, 明瞭な対応関係を示す. 三角州帯および自然堤防帯の両測線とも, デルタ堆積物上に河川堆積物が累重する. ただし三角州帯では, 自然堤防の発達は小規模かつ断片的である. 一方自然堤防帯では, チャネルが下位の地層を切り込みつつその位置を変え, 側方に自然堤防をつくり, 周辺の地表面を埋没させながら上方に累重する. 両測線の比較から, デルタフロントの通過・堆積以後, 約2,000~2,500年間はデルタシステムが干潟などの低平な地形を形成し, その後, 自然堤防をつくりながら急速に河川システムの累重が進んだ. さらに, デルタの前進に伴い, 上流側の河川システムもほぼ同様の速度で前進してきたと考えられる.

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© 2006 日本第四紀学会
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