2021年7月3日,静岡県熱海市逢初川源頭部の盛土が崩壊し,土石流が発生した.この盛土崩落の原因の検討には,盛土の力学的性質のデータが不可欠であり,それには盛土の採取地の特定は重要である.本研究では,土石流堆積物から得た泥岩礫について微化石分析を行った.その結果,堆積年代は1.04~0.25 Maの範囲にあることは確実であり,さらに1.04~0.91 Maに限定される可能性のあることが分かった.また,底生有孔虫化石群集はRotalinoides compressiusculaの高い占有率(63.8%)を特徴とする.一方,関東地方に分布する海成第四系の自然露頭からは本種の多産例が報告されていないことから,泥岩礫は人工的に露出した地層に由来する可能性が高い.
関東平野西部,狭山丘陵に分布する上総層群狭山層には前期更新世の氷河性海面変動を反映した堆積サイクルが認められる.今回,狭山丘陵南部の村山上貯水池(多摩湖)北西端付近において,狭山層を構成するシルト層中に多摩湖下位ガラス質テフラ(Tmk-L)を新たに検出した.本テフラと狭山層中の既知テフラとの関係は,蔵敷テフラ(ZSK)(1.284 Ma)の下位,狭山ゴマシオテフラ(SGO)(1.573 Ma)の上位である.本テフラは火山ガラスの屈折率,主成分・微量成分化学組成を根拠として,南関東各地で認定されている西久保テフラ(NK)に対比される.珪藻化石から本テフラの上下堆積物の堆積環境は直下で海成,直上で淡水成,さらにその上位で汽水成と判断されることと,またNKの房総半島における層位から判断し,その降下年代は1.35~1.45 Ma前後,MIS 43, 45, 47のいずれかのピーク頃である可能性がある.