第四紀研究
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最新号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
特集号 「陸域アーカイブから読む環境変遷と巨大災害:防災・減災に向けて」
  • 奥野 充, 遠田 晋次, 中西 利典, 山田 和芳, 石原 与四郎, 苅谷 愛彦
    2024 年 63 巻 2 号 p. 61-64
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/29
    [早期公開] 公開日: 2024/05/15
    ジャーナル フリー

    Large-scale natural phenomena are generally infrequent; however, their imprints can still be traced through geological records of past events. Terrestrial archives are one of the sources for the records of past events. Although they have a lower resolution than marine archives, terrestrial areas where human societies develop and where disasters actually occur have the advantage of being easily accessible. This special issue “Environmental Changes and Mega Disasters Unraveled from Terrestrial Archives: Toward Disaster Prevention and Mitigation” includes four papers that deepen our understanding of the characteristics of terrestrial archives to help decipher environmental changes and catastrophes. The first paper is a study that explains the three-dimensional fault displacement structure from underground radar exploration in the Tanna Fault. The second paper is a study on the evaluation method of interlocking earthquakes in inland active fault zones, with the Itoigawa-Shizuoka Tectonic Line fault zone as an example to construct a preliminary method for calculating the probability of occurrence. The third paper introduces the potential of systematic research on cave ruins and the emplaced deposits for clues to understanding paleoenvironments and human history, using the Sakitari Cave and Shiraho-Saonetabaru Cave Sites in the Ryukyu Islands as examples. The final paper involves reconstructing the history of vegetation changes over the past 3,000 years from pollen analysis of wetland sediments on Atiu Island, part of the Cook Islands in the South Pacific, and discussing the process of human immigration and settlement on the island.

  • 木村 治夫, 堤 浩之, 稲荷 絢音, 谷口 薫, 中西 利典
    2024 年 63 巻 2 号 p. 65-75
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/29
    [早期公開] 公開日: 2023/07/13
    ジャーナル フリー

    本研究では丹那断層の田代地点で,極浅部地下構造を可視化する物理探査法のひとつである地中レーダ探査を実施し,埋没した横ずれ変形構造の検出を試みた.探査は,断層に平行な長さ40 mの測線を0.5 m間隔で41本設定し,機材にはカナダSensors & Software社のpulseEKKO PRO地中レーダ探査システムを用いて,各測線ともに中心周波数50 MHzのアンテナによって0.5 m間隔でスキャンした.さらに,断面の深度変換に必要な地中電磁波速度を得るために,ワイドアングル測定を実施した.その結果,表層付近(深度2 m以浅)では,東北東─西南西に帯状に分布する埋没した微小な侵食地形を示す構造が,より深い領域(深度2 m以深)では南西ないし西南西へ流下する埋没チャネルを示す構造が見られた.両者ともに左横ずれ変形を示し,より古い時代に形成された深部の構造の方では,約3~7 mの左横ずれを呈する,より大きな変形が確認された.このように,地中レーダ探査は,活断層による横ずれ変位量の検出とその累積性の確認にも有効であることが示された.

  • 近藤 久雄
    2024 年 63 巻 2 号 p. 77-90
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/29
    [早期公開] 公開日: 2023/11/16
    ジャーナル フリー

    陸域の内陸主要活断層帯から生じる連動型地震・巨大地震は,人口稠密地域など発生場所によって巨大災害を生じる可能性がある.活断層帯から生じる連動型地震の規模については,過去に連動したと仮定した場合の断層長をもとに,断層長と地震規模の経験則から評価されてきた.一方,複数の活断層ないし活動区間が連動する発生確率は,これまで算出方法が確立されていない.陸域の活断層調査では地震時変位量を直接計測できる利点を活かして,著者らは正確な活動時期とあわせた変位履歴等に基づき過去の連動型イベントを識別する古地震学的手法を開発してきた.さらに,その連動型イベントの発生頻度からポアソン過程によって連動型地震の発生確率を予察的に算出する手法を構築した.本稿では,糸魚川-静岡構造線断層帯を対象とした結果と概要について紹介する.

  • 石原 与四郎, 山崎 真治
    2024 年 63 巻 2 号 p. 91-111
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/29
    [早期公開] 公開日: 2023/10/19
    ジャーナル フリー

    石灰岩に形成された洞窟(石灰岩洞窟)は,地表に比べて変化の少ない安定した環境であるとされる.そしてその内部に形成された石筍や堆積物からは長期的かつ保存の良い古環境記録や化石が得られることが知られている.近年,琉球列島の石灰岩地帯では,洞窟遺跡の発掘が多く行われるとともに,多くの人類学的・考古学的成果が得られるようにもなってきた.一方で石灰岩洞窟の環境は,その水文環境や形成過程によって大きく異なり,その結果として石筍記録や化石や遺物の残される環境も洞窟ごとに異なる.本稿では,まず洞窟の形成過程についてまとめ,続いて洞窟における堆積物の形成過程や石筍の成長モデルについて紹介する.その上で特徴的なイベント堆積物を伴う洞窟遺跡の例として,サキタリ洞遺跡と白保竿根田原洞穴遺跡の堆積物を概説し,古環境と人類史を読み解く手がかりとしての洞窟とその堆積物の可能性について展望する.

  • 藤木 利之, 酒井 恵祐, 奥野 充
    2024 年 63 巻 2 号 p. 113-126
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/29
    [早期公開] 公開日: 2023/09/16
    ジャーナル フリー

    クック諸島アチウ島Areora地区東部の湿地から得られた堆積物で花粉分析を行った結果,約1,600 cal BP (約350 cal CE) にココヤシと草本の花粉,シダ胞子,木炭片が急増し,タコノキ属花粉やヘゴ科胞子が急減するという劇的な植生変化が確認された.大規模な森林伐採などによるかく乱により,草原が拡大したと考えられた.アチウ島は約350 cal CEに人類が定住していたと考えられたが,この時代にアチウ島には人類定住の痕跡となる考古学データは全くない.また,約1100 cal CE以降にサツマイモなどの栽培植物花粉が微量ではあるが出現し,木炭片が急増した.よって,アチウ島への人類到達は2段階ある可能性が示された.年代は若干異なるが,この結果はTiroto湖の古環境データとほぼ一致している.堆積物を用いた古環境復元から人類定住年代を研究する場合は,島の様々な集水域の堆積物の分析を行って,多面的な分析結果から議論する必要があると考えられた.

口絵
論説
  • 小松原 琢, 本郷 美佐緒, 古澤 明
    2024 年 63 巻 2 号 p. 127-146
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/29
    [早期公開] 公開日: 2024/03/15
    ジャーナル フリー
    J-STAGE Data

    北上山地北部の外山川最上流部には,標高700 m内外に幅広い河谷を埋積して厚い堆積物をもつ堆積段丘が発達する.この段丘堆積物は河川性の砂礫層を主として,湿地的な環境下で堆積したシルト層を挟有する.段丘堆積物の最上部には粗粒物質を含まない粘土層が累重する.堆積物最上部の粘土層にはMIS 3後期の約36 cal ka BPに降下した十和田大不動テフラ(To-Of)が挟在する.段丘堆積物の5層準より得た花粉組成は,針広混交林の組成を示す.この段丘堆積物の容積は,流域の削剥速度から推算される土砂生産量を下回るものであり,段丘堆積物堆積当時(最終間氷期後期~最終氷期前期亜氷期)に斜面から河谷に供給された砕屑物は河川上流部に留まるだけでなく中流域まで流下して広い堆積段丘を形成したと考えられる.

短報
  • 佐藤 善輝, 本郷 美佐緒, 水野 清秀
    2024 年 63 巻 2 号 p. 147-157
    発行日: 2024/05/01
    公開日: 2024/05/29
    [早期公開] 公開日: 2024/04/17
    ジャーナル フリー
    J-STAGE Data

    徳島県東部に位置する徳島平野の第四系地下地質層序を明らかにするため,平野中央部で掘削された板東観測井コア試料にみられる更新統(北島層)について泥質堆積物の電気伝導度(EC)分析に基づいて海成層の認定を試みた.また,花粉化石組成に基づいて,各海成層の堆積年代についても検討した.その結果,北島層中には少なくとも計4層の海成層(M1~4層準)と,計5層の海成層の可能性のある層準(N1~5層準)が認められた.既存の花粉生層序との対比から,M3層準は海洋酸素同位体ステージ(MIS)11に対比される可能性が高い.また,M1層準はMIS5eまたはMIS7に,M2層準はMIS9初期に,M4層準はMIS13に,N1層準はMIS15にそれぞれ対比される可能性がある.平野地下に海成層が累重することから,徳島平野はMIS15以降,継続的に沈降していると推定される.

資料
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