第四紀研究
Online ISSN : 1881-8129
Print ISSN : 0418-2642
ISSN-L : 0418-2642

この記事には本公開記事があります。本公開記事を参照してください。
引用する場合も本公開記事を引用してください。

百人町三丁目西遺跡出土隆起線文土器付着炭化物の年代と同位体分析
工藤 雄一郎米田 穣大森 貴之
著者情報
ジャーナル フリー 早期公開

論文ID: 60.2020

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

本稿では,日本列島で最古段階となる縄文時代草創期の隆起線文土器群の年代的位置づけを検討するため,東京都百人町三丁目西遺跡出土土器内面付着炭化物の分析を行った.土器に付着した炭化物は少量であったが,炭素をセメンタイトに合成する微量分析による放射性炭素年代測定を実施し,12,660±50yrsBP(15,270~14,940calBP)の土器であることが分かった.また,炭素・窒素安定同位体分析により,炭化物の由来が陸上動植物であり,年代測定結果の信頼性が高いことを示した.隆起線文土器の土器付着炭化物の放射性炭素年代測定50点および最古段階の資料である長崎県福井洞窟3c層出土炭化材による隆起線文土器の年代を比較し,隆起線文土器は約16,000年前から2,000年程度続く土器型式であり,百人町三丁目西遺跡の土器はそのなかでも中段階に位置づけられることを示した.

著者関連情報
© 2021 日本第四紀学会
feedback
Top