論文ID: 61.2111
本論では日本海中部の若狭湾沖で採取された海底堆積物コアに挟まるテフラの層相と記載岩石学的性質について記載した.また,若狭湾沖海底堆積物コアに挟まるテフラと日本海の海底堆積物コアに挟まる後期更新世から完新世の模式テフラについて,火山ガラス片の主成分元素組成をSEM-EDS分析により測定した.その結果,若狭湾沖海底堆積物コアには,上位から順に,鬼界アカホヤ (K-Ah) テフラ,TRG1テフラ,TRG2テフラ,大山草谷原軽石層 (KsP),若狭1 (Wks1;新称) テフラ,姶良Tn (AT) テフラ,姶良-大隅降下軽石堆積物 (A-Os),鬱陵大和 (U-Ym) テフラ,若狭2 (Wks2;新称) テフラ,山陰1 (SAN1) テフラ,阿蘇4 (Aso-4) テフラ,鬼界葛原 (K-Tz) テフラが確認された.本論で構築した若狭湾沖海底堆積物コアのテフラ層序は,他の海底堆積物コアや湖成堆積物コアと対比する際の重要な層序学的資料となる.