第四紀研究
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武蔵野台地の地形変位とその関東造盆地運動における意義
貝塚 爽平
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1957 年 1 巻 1 号 p. 22-30

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抄録

1. 武蔵野台地は, 地形面の連続性と関東ローム層によつて, 下末吉面, 武蔵野面, 立川面およびそれ以下の段丘に大別される. これら各面をつくるものは, 武蔵野面および下末吉面の東京山の手地域にあるものをのぞくと, いづれも礫層であつて, これらの礫層よりなる各面は, 主として多摩川の作つた扇状地である.
2. これら各面の縦断面形の比較と武蔵野面の等高線異状の考察から, 武蔵野台地の北部は北東に傾き下る撓曲をうけて変形したことが明らかにされた. この変動は大宮台地には及んでいない. また, 古い地形面ほど大きい変形を示すことから, この運動が継続的なものであることが知られる.
3. 洪積世末期には, 武蔵野台地の南部から松戸附近の下総台地に至るほぼ東西の軸を境として, これ以北では関東平野の中心部に向う造盆地運動がありこれ以南では, とくに房総半島北部の地形に著しくあらわれている東京湾の低地を作る沈降運動が行われた.

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