第四紀研究
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奥会津沼沢火山から約5万年前に噴出した沼沢-金山テフラ
鈴木 毅彦早田 勉
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1994 年 33 巻 4 号 p. 233-242

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抄録

沼沢火山は, 福島県奥会津に位置する小規模なカルデラ火山である. 同火山から噴出した新たなテフラを認定した. このテフラを沼沢-金山テフラ (Nm-KN) と命名し, その産状・特性・分布・各地での層位について記述した. さらに, 噴出年代・テフラの体積・カルデラ地形との関係について考察した. Nm-KNは, おもにプリニアン軽石堆積物, 火砕流堆積物, 降下火山灰からなる. いずれも普通角閃石・カミングトン閃石・黒雲母を含み, 特徴的なテフラである. 降下テフラは, 沼沢火山から東方に分布し, 会津盆地周辺, 磐梯・吾妻・安達太良火山などの山麓で見出された. 大山倉吉テフラ (DKP) およびAso-4との層位関係から, Nm-KNの噴出年代を50~55kaの間にあると推定した. 降下テフラと火砕流堆積物の体積は, それぞれ1.4km3, 1.5km3と算出し, それらの噴出源は現在の沼沢湖にあたると推定した.

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