第四紀研究
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秋田県男鹿半島における上部更新統層序の再検討
白石 建雄竹内 貞子
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1999 年 38 巻 1 号 p. 29-39

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抄録

秋田県男鹿半島の安田海岸では,海成更新統が連続露出し,上部更新統層序は安田層とその上位に不整合関係で重なる潟西層に区分されていた.しかし,火山灰層序学,含有動植物化石群集組成にもとづく検討により,安田層は安田海岸から約5km東方の模式地域における潟西層の一部で,同層の沖浜堆積相であることが判明し,安田砂部層と再定義した.安田海岸では,安田砂部層以上が潟西層を構成し,下位の鮪川層を不整合関係で覆う.ここでの潟西層には,模式地域の潟西層の離水層準より上位で,酸素同位体比ステージ5aに対比される可能性がある海成層が含まれる.また,模式地域における潟西層の最下部の部層は,洞爺火山灰との層位関係ならびに含有動植物化石群集の特徴から,安田海岸における鮪川層最上部に対比される可能性がある.それゆえ,男鹿半島において上部更新統層序を確立するためには,潟西層の下限と上限の確定に関連した上記の課題を解明する必要がある.

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