第四紀研究
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沖積層中にみられる古地震イベント堆積物,とくに津波堆積物について
海津 正倫
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1999 年 38 巻 6 号 p. 515-524

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抄録

古地震イベント,とくに内外の津波堆積物に関する研究を渉猟し,従来の研究によって明らかにされたそれらの特徴について整理・検討した.古地震に伴うイベント堆積物にはさまざまなものがあり,顕著な特徴をもっている.これまでの研究によって明らかにされた沖積層中の古地震イベントには,1)沈降・離水などに伴う堆積環境の変化,2)液状化に伴う噴砂痕や重鉱物の集積などの堆積構造の変化,3)タービダイト・水中土石流などの重力流による海底・湖底堆積物の二次的堆積,4)津波堆積物の堆積などがある.
これらの堆積物の認定にあたっては,広域に共通して分布するなどの地域的特性や同時性などが注目される.これらの堆積物は通常の堆積物に比べて,粗粒な砂質あるいは砂礫質堆積物であり,上方に向けて細粒化する級化構造をもつことが多く,外洋から内陸に向けて薄くなり,細粒化する傾向をもつ.また,津波堆積物の場合には,基底にフレーム構造をもつことがあり,海水起源の微化石やイオンなどを多く混入するという傾向もみられる.

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