第四紀研究
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鬼界アカホヤ噴火が南九州の植生に与えた影響
植物珪酸体分析による検討
杉山 真二
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2002 年 41 巻 4 号 p. 311-316

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抄録

約7,300年前の鬼界アカホヤ噴火が南九州の植生に与えた影響について,植物珪酸体分析の結果から検討を行った.その結果,幸屋火砕流(K-Ky)が及んだ大隅半島南部や薩摩半島南部では,それまで分布していた照葉樹林やタケ亜科Bambusoideaeなどが絶えて,ススキ属Miscanthusなどが繁茂する草原植生に移行したと推定される.約6,400年前の池田湖テフラ(Ik)との関係などから,これらの地域の大部分では約600~900年間は照葉樹林が回復しなかったと考えられるが,K-Kyの到達限界付近など一部の地域ではIk直下で照葉樹や落葉広葉樹が出現しており,森林植生が回復過程にあったと推定される.K-Kyが及ばなかった鹿児島県中部以北では,照葉樹林が絶えるほどの影響を受けなかったと考えられ,鬼界アカホヤ噴火以降に照葉樹林が拡大したところも見られたと推定される.

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