抄録
本研究の目的は,離婚後の母親の面会交流の受けとめと母親のゲートキーピングとの関連を検討するとともに,「母親のソーシャルサポート」および「母親による子どもの意思・様子確認」の調整効果について検討することであった。離婚して小学校4 年生から中学校3年生の子どもと同居する母親を対象とした質問紙調査を行い,167 名を分析対象とした。階層的重回帰分析の結果,母親の面会交流の受けとめである「子どもや自身の安全への懸念」は,母親のソーシャルサポートが低い場合にのみ,面会交流の制限につながっていた。また,「再婚にあたっての懸念」は,「母親による子どもの意思・様子確認」が低い場合のみ,面会交流の促進を低下させていたことなどが明らかになった。考察では,「母親のソーシャルサポート」,「母親による子どもの意思・様子確認」の重要性と実践への示唆について検討した。