離婚・再婚家族と子ども研究
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巻頭言
投稿論文
  • 稲葉 昭英
    2023 年 5 巻 p. 2-19
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル 認証あり
    本研究の目的は,離別母子世帯における非同居父と子との交流が子にどのような影響を及ぼすのか,を検討することである.無作為抽出にもとづく確率標本データを用いて,中学校3 年生の子のいる母子世帯について,非同居父と子との会話頻度,非同居父から子へのサポートが子の自己肯定感に及ぼす影響を計量的に検討した.会話頻度,サポートどちらの項目も欠損値が過半数を占めていたが,欠損値を含めておこなった分析,欠損値を示したデータを除外して無回答傾向を統制しておこなった分析,いずれにおいても女子においては父と「友達のこと」について会話する頻度が高いほど,また父が「自分のことをわかっている」と思えるほど,有意に自己肯定感が高い傾向が示された.ただし,以上の傾向は男子には示されなかった.非同居父は女子に対して表出的なサポートの提供者として少なからぬ役割を有し ているように思われる.このことは,非同居父と子との関係の継続が子どもにとって利益となる可能性を示している.
  • ――面会交流に前向きになった同居母親を対象としたインタビュー調査より――
    草野 智洋
    2023 年 5 巻 p. 20-36
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル 認証あり
    離婚当初は面会交流に対して後ろ向きだったが現在は前向きな気持ちになっている同居母親11 名を対象にインタビュー調査を行い,面会交流に対する意識が変化するプロセスと変化の要因を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによって分析した。同居母親は元夫への嫌悪感や面会交流に対する不安と不満を持ちながらも面会交流を行い続けることによって,自分にとっても面会交流のメリットがあることを実感し,面会交流を通じて元夫を見直すようになっていった。子どもが面会交流を喜んでいること,家族や友人の支えによって同居母親が心理的に安定したこと,時間の経過なども,同居母親の気持ちが変化する要因であった。子どもと両親との関係は,父とは甘やかしてくれる関係,母とはしつけに対して口答えすることはあるが深い絆のある関係と,それぞれ役割は異なるがどちらとも親密な関係を形成していた。こうした変化は面会交流を行っていたからこそ生じた変化であるが,その前提として本調査の協力者達は父母間の関係は悪くても父子関係は悪くなく,養育費の支払いを含む父親の協力的な関わりがあり,母親が自分の気持ちより子どもの気持ちを優先することができていたことも影響していると考えられる。
  • ――北陸4 県と離婚率が高い県の比較を通じて――
    直原 康光, 曽山 いづみ
    2023 年 5 巻 p. 37-50
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル 認証あり
    本研究の目的は,離婚を経験して子どもと同居する母親の支援ニーズや必要とするサポートについて,北陸4 県(石川県,富山県,福井県,新潟県)と離婚率が高い県(沖縄県,宮崎県,高知県,香川県,和歌山県)を比較することで,地域によって必要とされる支援が異なるのかを検討することであった。離婚して18 歳未満の子どもと同居する母親218 名を対象とした質問紙調査の結果,北陸4 県の母親の特徴として,①心理的適応の良好さおよび子どもに関する困難さの低さ,②暴力等による心身の安全の確保に関する困難さおよび相談ができなかったと回答した割合の高さ,③離婚とその条件についての相談割合および法的知識に関する支援ニーズの高さ,④グループによる心理的支援のニーズの低さが明らかになった。以上の結果から,北陸4 県における母親への支援では,暴力等のアセスメントを丁寧に行った上で支援に関する情報提供を行うこと,個別相談等を中心とした個別支援を中心に据えることが重要であることが示唆された。
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