抄録
本研究の目的は,離婚を経験して子どもと同居する母親の支援ニーズや必要とするサポートについて,北陸4 県(石川県,富山県,福井県,新潟県)と離婚率が高い県(沖縄県,宮崎県,高知県,香川県,和歌山県)を比較することで,地域によって必要とされる支援が異なるのかを検討することであった。離婚して18 歳未満の子どもと同居する母親218 名を対象とした質問紙調査の結果,北陸4 県の母親の特徴として,①心理的適応の良好さおよび子どもに関する困難さの低さ,②暴力等による心身の安全の確保に関する困難さおよび相談ができなかったと回答した割合の高さ,③離婚とその条件についての相談割合および法的知識に関する支援ニーズの高さ,④グループによる心理的支援のニーズの低さが明らかになった。以上の結果から,北陸4 県における母親への支援では,暴力等のアセスメントを丁寧に行った上で支援に関する情報提供を行うこと,個別相談等を中心とした個別支援を中心に据えることが重要であることが示唆された。