[目的]認知症患者の多くは認知症の行動・心理症状(BPSD)を呈し,患者やその家族,介護者への影響は大きい.本研究では,日本における関連研究の発展に貢献するため,BPSDへのアプローチに関する国際的な研究動向を体系的に明らかにする.[方法]計量書誌学のソフトウェアCiteSpaceを用い,Web of Scienceのデータベースから抽出した関連研究の論文を対象に,定量的に文献調査を実施した.[結果]2015年にKalesらが発表した認知症の行動・心理症状のアセスメントとマネジメントに関する論文の被引用頻度および中心性が共に高く,関連の研究領域において最も影響が大きいことがわかった.[結論]Kalesらの非薬物的アプローチを最初の選択肢として,家族介護者による介入を提唱した論文が,薬物療法から非薬物療法への転換を促し,当該研究領域におけるパラダイムシフトに影響を及ぼしたことが示唆された.