介護福祉学
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Print ISSN : 1340-8178
原著論文
「老人福祉」概念の形成過程の一考察―社会福祉審議会第4回小委員会(1962年6月25日)の議論に着目して―
中嶌 洋
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2024 年 31 巻 1 号 p. 12-23

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抄録

[目的]国会審議及び社会福祉審議会第4回小委員会において,「老人福祉」概念がどのような検討を経て形成されていたのかを具体的に明らかにすることを目的とした.[方法]1920年から2022年までの国会会議録及び「社会福祉審議会第4回小委員会会議録(要旨)」を対象とし,KJ法並びにコンコーダンスにより分析を行った.[結果]国会審議では老人福祉法成立前後における「老人福祉」の登場回数は多くなく,それ以前の各種審議会,委員会での議論の検討が重要であることが示された.KJ法により,第4回小委員会会議録を分析したところ,6つのカテゴリー,18のサブカテゴリー,82のラベルが抽出された.[結論]「老人福祉」概念の形成では,理念レベル,法律レベル,実施・運用レベルの3段階で検討され,官民双方の意見の擦り合わせが重要であり,とりわけ,実施・運用レベルのなかの「施策」において厚生省側の強い関与が示された.

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