日本再生歯科医学会誌
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原著論文
ES-D3細胞を用いた細胞分化誘導因子スクリーニング法の開発
-サイトカイン,ビタミン,BMP,Emdogain®,副腎皮質ホルモンの影響-
今井 弘一筧 晋平中村 正明
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2005 年 2 巻 3 号 p. 166-181

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抄録
ES細胞をコラーゲンで3次元培養する新しい細胞分化スクリーニング法の開発を目指し,その妥当性を検討する目的で細胞分化への影響が考えられる化学物質についてマウス由来ES-D3細胞を用いたEST法によって調べた.EGF, FGF, IL-6,IL-12,TNF-α, mLIFのサイトカイン6種類,L-Ascorbic Acid,Cholecalciferol,Folic Acidのビタミン3種類,BMP,Emdogain®およびDexamethasone,Betamethasone,Betamethasone Valerate,Betamethasone Dipropionateの副腎皮質ホルモン4種類の計15種類を用いた.その結果,IL-6,TNF-α,L-Ascorbic Acid,Cholecalciferolは心筋の鼓動率が低下したが,他の化学物質では有意差が認められなかった.また,骨分化マーカーのOsteocalcin量について調べた結果,FGFで対照の360%,BMPで310%,Cholecalciferolで180%を示した.さらにこれらOsteocalcin量が多く認められた化学物質について,培養21日後の結果をさらにカルシウムとリンをXPSで調べた結果,カルシウムイオンでは対照はClイオンの97.6%に対して,BMPで628.3%,FGFで529.2%,Cholecalciferol では136.2%を示した.またリンイオンでも同傾向であった.今回の結果から,ES細胞を3次元培養した上で化学物質の分化に与える影響を判定することが可能であった.
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© 2005 日本再生歯科医学会
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