抄録
全身あるいは局所の薬剤の新しい体内連続注入システムとして,我々は歯冠補綴物のスペースに着目した.すなわち,大臼歯など大きな歯冠補綴物や通常レジン等で空間を埋めるブリッジのポンティック部分等では,薬剤を貯留できるかなりの空間がある.そこで、根尖あるいは冠周囲から薬剤を徐々に体内に浸透させるシステムを提案する.
糖尿病治療薬の他にも血圧降下剤などの全身薬,積極的な根尖組織の再生を促す物質や根尖歯周炎治療にも用いられる局所への薬剤注入・浸透システムとして,歯冠補綴物は将来的に有効な薬剤投与装置にも成り得ると考えられ応用範囲も広い.