日本不動産学会誌
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保証の潜脱に利用される併存的債務引受
松田 佳久
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2016 年 30 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」では,個人が保証人になることが制限される保証規定の潜脱防止のために,併存的債務引受の箇所に,注意書きとして,「以上に付け加えて,併存的債務引受のうち,①引受人が債務者の負う債務を保証することを主たる目的とする場合,②債務者が引受人の負う債務を保証することを主たる目的とする場合について,保証の規定のうち,保証人の保護に関わるもの(民法第446条第2 項等)を準用する旨の規定を設けるという考え方がある。」との文言が加えられていた。しかし,この注意書きは,「民法(債権関係)の改正案」には何ら反映されていない。このことは,改正民法が,併存的債務引受が,保証の潜脱として利用されることを,ある程度許すものであることを意味している。 併存的債務引受が保証の潜脱であると解するにあたっての解釈基準が裁判所により作出され,それが一般社会に浸透するには長時間を要するものと想定される。それまでは,保証の脱法として利用される併存的債務引受の横行が十分に考えられるところである。

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© 2016 公益社団法人 日本不動産学会
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