JARI Research Journal
Online ISSN : 2759-4602
調査資料
オールドニュータウン住民のQOL向上に資するモビリティインフラ要件の検討
モビリティ研究会 調査報告 (9)
稲波 純一久保 達人大野 肇李 邱中塚 喜美代大庭 敦平岡 敏洋
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2025 年 2025 巻 3 号 論文ID: JRJ20250309

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抄録

高度経済成長期に整備されたニュータウンは,住民の高齢化と施設の老朽化が同時に進行しており,「オールドニュータウン問題」として社会的な課題となっている.本稿では,オールドニュータウンに居住する高齢者のWell-Being(幸福や健康で充実した状態)およびQOL(生活の質)の維持向上に焦点を当て,全国で実施されているモビリティ・リデザインの事例のうち,特徴的なものを四つ選び,調査・分析した.調査の結果,ニュータウン内での徒歩移動の制約,バス減便によるアクセス利便性の低下,階段が多い団地環境など,高齢住民の移動に大きな負担を与える要因が複数存在することが明らかになった.これらの移動困難問題を解決するために,各地で低速モビリティの導入が試みられているが,持続可能な形で継続している事例は現時点では少ない.成功事例の分析からは,以下の重要な知見が得られた:1) 低速モビリティなど移動手段の確保,2) 福祉施設や介護施設,住民交流のための休憩スペースなど,移動の目的となる設備の整備,3) 事業者や利用者が当事者意識を持って関与できるような事業規模の適切化.

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© 一般財団法人日本自動車研究所
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