2023 年 30 巻 1 号 p. 41-50
2022年の大会テーマセッションは「アクションリサーチという問い:フィールドワークとの向き合い方を考える」であった。「アクションリサーチ」は、私たち村研の多くの研究者が行ってきた方法であり、大会終了後には、「大野先生の話を聞きたかった」という声が聴かれた。確かに、若い会員の皆さんは、大野先生の調査スタイルをご存じないのではないか。そこで、同テーマで、大野先生に語っていただけないか、打診してみた。固辞されていたのだが、東京、巣鴨の十文字学園女子大学巣鴨サテライトなら、新幹線で1・2時間程度で来ていただける。大友由紀子会員に協力を要請し、2023年2月19日13:30~15:30の日程で、開催することができた。以下は、その講演録である。
大野先生は、現地調査を行うかたわら、現地の住民との対話の中から、住民が自ら問題解決のために行う活動を支援されてきた。講演では著名な3つの事例が語られた。大野先生は高知大学勤務時に、高知の山村をほぼ全域調査された。ムラビトよりもムラのことを知っていると言っても過言ではない。その中から、原点ともいえる社会問題への取り組みと調査(アクションリサーチ)について十和村の調査を、また、森林環境問題では秋田県上小阿仁村の調査を語っていただいた。住居を購入して森林と野生生物の問題に取り組んだ北海道津別町については、時間が足らず、十分なお話が聞けず、とても残念であった。
なお、文中の[ ]内は、大友会員と中道による補足である。
(京都女子大学中道仁美)