村落社会研究ジャーナル
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村研年報合評 『生活者の視点から捉える現代農村』
人の移動を巡る西と東の理解
庄司 知恵子
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2024 年 30 巻 2 号 p. 27-32

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抄録

 『年報村落社会研究』(以下、村研年報)は、本学会の最も重要な成果物として年に1回発刊されてきた。村研年報のメインとなる「共通テーマ」は、学会の研究蓄積をふまえつつ、新たな研究の方向性を打ち出すために毎年設定され、本大会のテーマセッションでの発表を経て原稿化される。

 この共通テーマの内容については、年報の「研究動向」でふれられるが、各年度の業績紹介が目的であるため、十分に取り上げる紙幅は用意されていない。学会の力を結集してつくった共通テーマならば、本来、多くの学会員に開かれる形で、さまざまな観点からその意義や課題が議論されるべきであろう。従来の研究蓄積や共通テーマとの対話はもとより、各自の調査経験との照合、隣接分野との接点や連動性、あるいは国際比較の可能性や理論的な意義など、多くの検討すべき事柄があるはずである。

 本企画では、村研の特徴でもある二つの媒体(村研年報と村研ジャーナル)を活かし、村研年報の共通テーマを村研ジャーナルにおいて、合評対象として取り上げることとした。この企画を通して、村研大会のテーマセッションで頭に浮かんだ意見やアイディア、年報を読んでえた読後感など、いままで共有化できなかった会員の声に耳を傾けることで、議論の輪がさらに広がることを期待したい。

 

本書の構成

序章 生活研究からみた現代農村の課題(高野和良)

第1章 移動の時代におけるムラの重層的な生活保障のしくみ―宮城県七ヶ宿町湯原と千葉県鴨川市大浦の知恵に学ぶ(村田周祐)

第2章 移動型社会における農村の生活構造とコニュニティ―熊本県あさぎり町須恵地区和綿の里づくり会の事例から(松本貴文)

第3章 農村地域における日常型移動研究の意義(加来和典)

第4章 生活論からみた中国農村の人びとの生活合理性―都市化・流動化に生きる山東省一農村を事例に(閻美芳)

終章 生活の視点から捉える現代農村の維持可能性(高野和良)

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