実践政策学
Online ISSN : 2189-1125
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経営リーダーになる飛躍的成長機会と「経験理論」の再検討
リーダーシップ開発論の視点
大嶋 淳俊
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2024 年 10 巻 2 号 p. 219-224

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抄録
経営リーダーの育成は、いつの時代も最重要な経営課題の一つとされる。そのリーダー人材の育成に重要な要因として、「仕事上の経験」が7割と最重要で、2割は「人との関わり」、1割が「研修等」とする「経験理論」が古くから信じられている。しかし、近年のリスキリングや越境学習の概念が広がりを見せているように、デジタル変革(DX)など大きな社会変化に対応するためには、従来の仕事の知識に固執せず、新たな知識や考え方を取り入れ、企業の枠を超えて多様な人材と関わり・学び、共創できる能力が求められている。先行き不透明な現代において組織を舵取りする経営リーダーはこれまでの職位より高い次元で意思決定が必要とされており、仕事上の経験の延長線上の知見だけで経営リーダーシップをとれるのか疑問視される。本研究では、経営リーダーに大きく成長した重要なキャリア上の経験を「飛躍的成長機会」として、これまでは「仕事上の経験」ほど重視されてこなかった「業務外での人との関わりや学び」が、経営リーダーの飛躍的成長にどうつながるのかに注目する。それを明らかにするために、大企業の経営リーダー達に飛躍的成長機会について聞き取り調査を実施し、業務外での経験・交流の有効性を検討した。さらに、政府や産業界が飛躍的成長機会の創出にかかわる可能性について論じた。
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