現在,我が国の大学において,大学入試広報活動は欠かせないものとなっている.入試広報は受験生への大学情報の提供を目的として始まったが,少子化の中,今は学生募集の意味合いが強くなっている.入試広報活動に関する研究は国立大学を中心に2000 年代に入ってから活発化している.中でも,入試広報の効果を探る研究が必要とされている様子がうかがえる.本研究では,東北大学工学部が10 年以上にわたって実施されてきたAO 入試Ⅱ期受験生を対象としたアンケートから,入試広報活動の効果に関わる項目について分析した.その結果,発信型広報の効果には受験生の出身地の地域差は見られなかった.対面型広報は東北地方出身の受験生の活用度が高かった.いずれも,年を追うごとに参考にする度合いが高くなる傾向が見られた.拡大する入試広報活動には限界や弊害も指摘されているが,大学志願者の進路選択への役割が大きくなっていることが示唆された.