多枝選択式問題については,知識の有無だけでなく,思考力等を測ることが求められている。センター試験の問題の中には,思考力を問う問題も出題されていると評価されているが,解答者はそれらの問題を実際に思考力を用いて問題を解いているのであろうか。
本研究では,センター試験(世界史)の過去問のうち,思考力を測る問題として評価されている問題を用いて,問題がどのように解答されているのかを明らかにするために二つの調査を行った。[調査1]では,選択式のアンケート調査を行った。[調査2]では,実際の解答過程の記述を収集し分析した。[調査1]と[調査2]を通じて,思考力を測る問題として想定されている問題が,実際に想定通りに問題文やグラフの内容をもとに推論を重ねて解答されていることが示された。また,知識問題であっても「知識・理解による判断」だけではなく,「知識・理解に基づく推測」により解答されていることも示された。