AO 入試や推薦入試による大学志願者集団を想定した「言語運用力」および「数理分析力」試験に関して,モニター調査の実施大学の1 つに着目して,受検者の入試区分による得点の違いを分析した.「言語運用力」および「数理分析力」試験は非教科・科目型の試験ではあるが,学力試験の比重が高い入試区分を経た入学者集団のほうが,言語運用力得点も数理分析力得点も高得点寄りの分布を示す.これは,高校までの教科・科目の学習を基盤として培われた能力が得点に反映されていることを示唆している.今回の分析対象では,言語運用力試験も数理分析力試験も,公募制推薦入試による入学者が比較的高得点寄りの得点分布を示す点が特徴的である.公募制推薦入試では,国語と英語の基礎的なテストが課されており,志願者がテストを意識した学習を高校までに行ってきたことが,「言語運用力」および「数理分析力」試験で測ろうとする能力の育成に繋がり,得点に反映されたと考えられる.