ある正答数以下の学生に対して補習を行い,その学習効果を補習後のテストで確認するような状況を考える。本論文では,テストの正答数の分布にベータ二項モデルを当てはめる。ある正答数以下の学生のデータが得られている場合の補習後のテストの正答数の分布を,補習前後で問題数が必ずしも同じではないモデルを考え,補習後ならびに補習前後の変化量の期待値と分散を提示する。この期待値と分散を用い,また,データの不完全性の程度を3種類(選択・打ち切り・トランケーション)に分類し,それぞれの状況ごとにモーメント法によるパラメータ推定方法を提案する。特に選択と打ち切りの間では,パラメータ推定精度に違いが少なく,実用的であることがわかった。また,いずれのパラメータ推定方法においても,平均への回帰を考慮した検定を適用した結果,良好な結果が得られ,妥当な検定の適用が学習効果を正確に把握するために重要であることが示唆された。