主催: 視覚障害リハビリテーション協会
盲導犬を希望する視覚障害者数は、潜在的なニーズが相当数あるのにかかわらず、高齢化•重度重複化などの理由により、このままでは今後減少していく可能性すらあると考えている。
盲導犬をもつことの前提となる、相応の自立生活能力の習得に必要な生活技術指導の支援(これの一翼を担っているのが歩行訓練士)の体制が、地域格差も含めて全国的には未だに未定着であること、生計基盤が低下傾向であることも相まって、盲導犬をもつだけの諸条件を満たせない可能性があるからだ。
盲導犬訓練士の日常は、歩行訓練士同様、なかなか厳しい繁忙の中にある。両方の現場の実際を知る私たち2人には、盲導犬の育成にしろ、白杖歩行にしろ、その指導内容の掘り下げをすればするほど、両者の専門性の中で共通する考え方、指導の展開の仕方があることも実質的に知っている。
盲導犬ユーザーに対しては、アフタフォローだけをとって考えてみても、所在する現地に赴いての支援が必要であるが、日常業務の繁忙の中にあるので、もっと回数を確保して、時間も内容も充実させた体制を築きたいところであるが、それがままならない現実もある。
また、遠方であればあるほど、時間もかかれば旅費もかかり、その経費は寄付金の中で賄われている現実を考えれば、なにかしらの改善の努力をするべきこととの認識も強い。
本来のあるべき、求めるべき体制のありかたを考えたときに、これからの盲導犬の更なる普及を実現させるためには、各都道府県に盲導犬訓練士の配置と、盲導犬ユーザーになるための基盤づくりの一支援者である地域の歩行訓練士との連絡と連携は、もっと実質的で密なものであるべきだと考える。
今回は、双方の専門性の中身について、知識としても実践的にも知りうる立場にある盲導犬訓練士と歩行訓練士の私たち2人が、共同で今後の両者の実質的な連携のありかたを考察し、これからの盲導犬普及のありかたの一提案としたい。