視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第18回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: P-29
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ポスター発表
フォントの違いが弱視者の選好文字サイズに及ぼす影響
*永井 伸幸
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抄録

目的:弱視者におけるフォントの効果について、様々な観点から論じられているが、好みのフォントと好みの文字サイズの関係については明らかにされていない。そこで、弱視者に文字サイズを自分が好ましいと思うサイズ(選好文字サイズ)に設定した場合、ゴシック体と明朝体でどのような違いが見られるのか、実験的に検討した。
方法:被験者は5名の弱視者であった。事前にMNREAD-Jを用いて臨界文字サイズと読速度の測定を行った。CRTディスプレイ上に1行10文字で3行の読み刺激を呈示した。読み刺激は、小学校で習得する漢字を含む文章で、フォントについて明朝体とゴシック体の2条件を設定した。視距離は各参加者の見え方に応じて調節した。「この状態で読み続ける時に好ましいと思う文字サイズに調節して下さい」と教示した。呈示された文字を縮小して好みの文字サイズに調整する縮小調整と、拡大して調整する拡大調整を交互に10試行ずつ行った。フォント条件の提示順序はランダムであった。
結果:フォントによる選好文字サイズの違いについて、参加者ごとにt検定を行った結果、5名中4名において、明朝体よりゴシック体で有意に小さな文字サイズを選択した。「ゴシック体の方が見やすい」と発言する弱視者は多いが、実際に選択する文字サイズも小さくなることが示された。これは横線の線幅の違いが影響したと考えられる。今後、臨界文字サイズとの関係や、明朝体とゴシック体の形状の差異との関係について検討していく。

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© 2009 視覚障害リハビリテーション協会
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