視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第18回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: P-35
会議情報

ポスター発表
富山県における中途視覚障害者の社会資源の活用状態
*麻野井 千尋小田 浩一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

目的 富山県におけるロービジョン・リハビリ関係の社会資源と活用状態が、過去35年間でどう変化したかについて、富山在住の中途視覚障害の人の非構造面接から検討した。方法 富山在住の48歳から73歳(平均57.5歳)の中途の視覚障害の男女7名(男性5名、女性2名)が面接に協力した。疾患は網膜色素変性症4名、白内障と緑内障1名、黄斑ジストロフィー1名、糖尿病性網膜症と脳出血による視神経萎縮1名であった。協力者1名につき、30分から~3時間の非構造面接を行った。得られた報告内容を、1)見えにくさを自覚した時期、2)医療機関から得られた助言、3)見えにくさを自覚した時点での社会資源に対する認識の程度、4)最初に到達した社会資源、5)活用した社会資源数と最初の社会資源に到達するまでの期間、6)社会資源を知った媒体、の6項目に分類し、見えにくさを自覚した時期が15年以上前のグループ(A群)とそれより最近のグループ(B群)で比較した。結果 B群はA群に比べ医療機関から得られた助言数と活用した社会資源数が多く、最初の社会資源への到達期間が短かった。社会資源に対する認識の程度は、両群で変化はなかった。B群の中にはインターネットや無料電話案内を活用し、全国的な社会資源に早期に到達する者もいた。考察 中途視覚障害の人の社会資源に対する認識の程度は過去35年間で変化していないにもかかわらず、時代が下るにつれ、活用した社会資源数は増加し、最初の社会資源にたどり着くまでの期間が短縮した。これは、ロービジョン・リハビリテーションに関する知識が、盲学校、市役所、視覚障害者福祉センター等の既存施設以外においても醸成 され、運用されるようになったことを示唆する。通信手段を活用することで、地域に居ながら全国レベルのこれら多様な社会資源に早期に到達することが可能である。

著者関連情報
© 2009 視覚障害リハビリテーション協会
前の記事 次の記事
feedback
Top