視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第18回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: P-38
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ポスター発表
中心暗点と求心性狭窄患者における夢の視覚心像比較
*小川 景子森口 綾板嶌 憲次郎堀 忠雄山崎 勝男仲泊 聡
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抄録

【背景】夜間の睡眠中には、鮮明でありありとした夢見体験が出現する時期(レム睡眠)がある。レム睡眠中には網膜からの視覚入力がないのにも関わらず視覚野の活動が高まることが報告されており、これに記憶などの内因性の情報が加わることで夢の視覚映像が生成されると考えられる。先行知見により、全盲患者においても夢の視覚映像報告があること、中途視覚障害者で発症からの期間が短いほど夢の映像も鮮明であることが報告されている。しかし、これまで視野障害の種類ごとに夢の視覚体験を分類した研究は行われていない。そこで、本研究では日中の見え方が異なる中心暗点患者と求心性狭窄患者を対象に夢の見え方について面接調査を行うこととした。具体的には、障害間における日中の見え方の違いが夢の見え方の違いにも影響するのかどうか検討することとした。
【方法】周辺は見えるが見ようとするところが見えない中心暗点患者と、視線の方向は割と見えるが周辺視野がとても狭い求心性狭窄患者が調査に参加した。調査では、日中のイメージ想起レベル(視覚心像鮮明性質問紙(VVIQ)質問紙)および夜間の夢見体験中の見え方について面接聴取を行った。
【結果と考察】視覚心像の鮮明性(イメージ想起レベル)は、求心性狭窄患者(73点)が中心暗点患者(53点)よりも高い値を示した。夢の鮮明性については、求心性狭窄患者は日中よりも夢の映像が鮮明であると答えたのに対して、中心暗点患者は日中と同様に不鮮明だった。本研究より、求心性狭窄患者は中心視野が比較的保持されているため、視覚イメージや夢の視覚映像の鮮明度も保持できている可能性が考えられる。

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© 2009 視覚障害リハビリテーション協会
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