視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第18回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
セッションID: P-39
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ポスター発表
ハイブリッド車が視覚障害者の路地横断時の安全性や安心感に及ぼす影響
*中野 泰志新井 哲也
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抄録

1.目的:地球温暖化やエネルギー問題が注目される中で、ハイブリッド車や電気自動車等は排気ガスや騒音等が少なく、優れた環境性能の車として注目を集めている。しかし、その静粛性のため、歩行者が車の存在に気づきにくく、接触事故等に巻き込まれる可能性も秘めている。特に、路地等を横断する際に車の有無をエンジン音で確認する場合が多い視覚障害者にとって、新たなバリアになる可能性もある。単独歩行している視覚障害者が路地を横断する際にどのような情報を手がかりにし、どんな困難や不便さを感じているか、また、車の音をどの程度利用しているのかを明らかにするためにアンケート調査を実施した。
2.方法:音の静かな車が視覚障害者の路地横断時の安全性や安心感に及ぼす影響を分析するために、1)ユーザの特性、2)単独歩行の実態、3)路地横断の際の手がかり、4)車の発見、5)事故経験等の観点から14項目のアンケート調査を作成した。アンケートへの協力者は、視覚障害関係のメーリングリスト(VIRN視覚障害リソース・ネットワークメーリングリスト、全国視覚障害者雇用促進連絡会メーリングリスト等)で募集し、調査はメールで実施した。
3.結果・考察:調査への協力者128名の内、単独歩行が可能な有効回答121名を分析の対象とした。以下、主な結果を示す。ほとんどの視覚障害者が車の確認には音を手がかりにしており(112名[92.6%])、路地では車に気づかず危険な経験をしたことがある(101名[83.5%])ことが明らかになった。また、静かな場所でも危険な目にあったケースは多く(39名[32.2%])、路地で車等にぶつからないかどうか不安に思っている視覚障害者が少なくない(63名[52.1%])ことがあきらかになった。Nakanoら(2008)の研究では、ハイブリッド車がモーターでアイドリングしているときの音は人間の聴力では聞き分けが困難であることがわかっている。したがって、路地でアイドリングしたり、発信するときに何らかの音を出す必要がある。

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© 2009 視覚障害リハビリテーション協会
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