視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
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教育講演
障害者福祉施策の動向
*坂本 洋一
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p. 35

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抄録

 障害者福祉施策は、社会福祉基礎構造改革による支援制度の導入後、めまぐるしく変化してきている。特に、障害者自立支援法が施行されて以来、内閣府内に設置された障がい者制度改革本部のもとで障がい者制度改革推進会議総合福祉部会がまとめた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(平成22年9月26日)が公表された。その提言の6つのポイントは、1)障害のない市民との平等と公平、2)谷間や空白の解消、3)格差の是正、4)放置できない社会問題の解決、5)本人のニーズにあった支援サービス、6)安定した予算の確保が挙げられている。
 一方、厚生労働省は平成24年2月7日に障害者自立支援法に替わる「障害者新法」の骨子提言を公表した。その提言では、理念・目的・名称、障害者の範囲、障害程度区分の見直し、障害者に対する支援の充実、地域生活の基盤の計画的整備等について言及している。しかしながら、障害者新法の提言は、障害者福祉法の骨格提言と大きな隔たりがある。今後、これらの隔たりがどのように具体的に解決されていくか懸念される。
 このような動きの中で、障害者福祉の関係者の共通課題は、障害者の権利をどのように施策として支援していくかということになろう。今後、議論する予定となっている「障害者差別禁止法」とともに、障害者当事者が満足するような障害者福祉施策の構築が求められることになる。そのためには、障害者の権利を支援する観点から、1)法の理念・目的・範囲、2)障害の範囲、3)支給決定手続き、4)サービス体系、5)地域移行の促進、6)地域生活の基盤整備、7)利用者負担、8)相談支援体制の充実、9)権利擁護、10)報酬と人材養成、11)医療との連携、12)障害児支援、13)労働と雇用等について具体的な解決をしなければならない。

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© 2012 視覚障害リハビリテーション協会
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