視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
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ワンポイントセミナー
高齢者の視覚リハビリテーションのポイント
高齢者の視覚リハのイロハ
*鵜飼 喜世子
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p. 45

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抄録

 高齢化社会を迎え、視覚障害を持つ高齢者の増加は必然のことですが、視覚リハビリテーションを必要とする高齢者の問題点とその解決について眼科とリハビリテーションの橋渡しの役を担う現場の視能訓練士から3つの提案をしようと思います。
問題点1、高齢者はネットが使えない、パンフレットなども見えないという制約があって若い人以上に情報収集が難しい。その為には ポイント:外来ではそもそも補助具のある事や訓練を受けられる事を知らない方が多く、患者さんへの積極的な声掛け、困ったことはない? 新聞は読める?ときくのが第一ステップ。その上で補助具、施設の情報提供を行うが、極めて具体的にすること。対策:自身が見て、触って、体験する。地域の利用可能な施設やお店も一度見学する事でより親身なアドヴァイスが可能になる。
問題点2、新しいことを覚えるのが難しい。ポイント:ややこしい補助具は勧めない。実際に使えるまで練習の機会を設け、ゆっくり時間をかけて使用方法を会得してもらう。対策:デモ機があるといい、あるいは貸し出してくれる業者や練習可能なお店があるといい。
問題点3、リハの必要性が稀薄でリハへの意欲が低い。つまり若い人達は本人に限らず家族も社会からも自立を期待されリハに積極的にならざるを得ないが、高齢者は社会が寛容に対応してくれて、本人もそれで困らないし、あきらめもあってリハへの一歩が踏み出せない。配偶者、家族によっては面倒を見ていることが生き甲斐になっていて、自立へのブレーキがかかる。ポイント:本人の説得だけでは事が進まない。対策:「1人でできることを増やす」これを本人だけではなく家族の目的となるようにしむけてリハに家族を巻き込むといい。
 以上の3点に関して日常現場でどう取り組んで、どんな効果があったか具体的な内容を紹介し、眼科→リハがなかなかスムースにいかない現状打破のための提案を試みるつもりです。

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© 2012 視覚障害リハビリテーション協会
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