視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
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ワンポイントセミナー
高齢視覚障害者の歩行訓練
*野崎 正和
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p. 46

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抄録

【概 況】
 鳥居寮は、障害者自立支援法の機能訓練(入所・通所)と京都府・市の独自事業(訪問訓練)を実施しています。正職員は所長以下8名(歩行訓練士が5名、コミュニケーション指導員が2名、栄養士1名)、他に嘱託職員等9名(歩行訓練士2名、看護師1名、その他6名)という小さな施設です。2011年12月現在、入所9名・通所44名・訪問17名(合計70名)の方達が利用されています。
 私は、主に京都府北部地域で歩行・パソコンの訪問訓練を担当しておりますが、地域全体の高齢化が進んでいる関係で、訓練希望者は60代~80代の方が多くなっています。

【歩行技術について】
 高齢の方の歩行訓練では、ロングケーンにローラー・チップを取り付けて、コンスタント・コンタクト・テクニックをよく使います。そして、手引きでの散歩をしたり、自宅周辺で伝い歩き中心のルート歩行(散歩コース作りなど)をする場合が多いです。
 ふらつきなどのある方には、握力のある方の手でT字ケーンを使って体を支え、逆の手でロングケーンをスライドするという2本杖歩行を指導することもあります。
 下り階段では、片手で手すりを持ちながら、ロングケーンの先で段鼻を一段づつ軽くタッチする方法でリズムをとりやすくしています。
 なお、指導技法としてはスモール・ステップとエラーレス・ラーニングが有効であると考えています。

【留意点】
1.歩行やパソコンだけではない多様なニーズがあり、京都府・市の視覚障害専門の巡回生活相談員と協力して対応しています。
2.体調管理が難しい方や精神状態の不安定な方には、手引きでゆっくり散歩をしながら時間をかけて傾聴中心の関わり方をすることもよくあります。
3.早急な結果を求めるより、高齢であっても生活の可能性を広げられるように、少しの変化を見つけてポジティブ・フィードバックをしながら、息の長いお付き合いをしていくことが大切だと思っています。

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© 2012 視覚障害リハビリテーション協会
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